【用語解説】「ポストアポカリプス」について

002-ポストアポカリプスとは 用語解説

みなさんこんにちは。

今回はポストアポカリプスについてわかりやすく解説したいと思います。

「ポストアポカリプス」とは

ポストアポカリプス(Post-Apocalypse)とは、「終末後の世界」をテーマにしたジャンルや設定のことを指します。

具体的には、文明が崩壊した後の世界を描く映画、小説、ゲーム、アニメなどフィクションに主に用いられます。

ポストアポカリプスの魅力は、絶望的な状況の中での人間の強さや弱さ、そして「新しい世界の再構築」にあります。

「ポストアポカリプス」の特徴

世界の崩壊後の描写

戦争(特に核戦争)、パンデミック、隕石衝突、環境破壊、ゾンビの蔓延など、文明が崩壊する原因はさまざまです。
そこに共通するのは、ほとんどの政府や秩序が失われ、サバイバルが中心となっているところです。

荒廃した世界

ポストアポカリプスの世界の多くは、砂漠化した都市、崩壊した建物、食料や水が不足している環境にあります。
使える資源が限られており、スカベンジャー行為つまりゴミ漁りや人の死体からモノを盗んだりが当たり前に行われています。

新たな秩序や勢力の誕生

残された人々がどう生き延びるか、どんな社会を築くかが大きなテーマになります。
モラルが崩壊し「弱肉強食」の世界になりやすく、ギャングや独裁者が支配する世界が多いです。

またテクノロジーが皆無の場合もあれば、逆に歪んだ形で発展していたりします。

002-ポストアポカリプスとは

「アポカリプス」について

ポストアポカリプスは、”post“と”apocalypse“の複合語です。

”post“は「~の後」を意味しますが、では”apocalypse“とはどんな意味でしょうか?

アポカリプス(Apocalypse) とは、一般的に「世界の終末」や「破滅的な出来事」を指す言葉です。もともとはギリシャ語の「apokalypsis」に由来し、「啓示」や「明かされること」 という意味があります。

ヨハネの黙示録

アポカリプスは元々は宗教用語です。

キリスト教の『ヨハネの黙示録(”The Apocalypse of John“または”Revelation“)』に「世界の終末の預言」が書かれており、終末には「四騎士(戦争・疫病・飢饉・死)」が現れ、世界が危機に瀕します。

最終的に神と悪(サタン)の最終的な戦いが起こり、そして新しい世界が誕生するようです。

旧い世界は消え去り、新しい天と新しい地が創造されます。
神が人々と共に住む「新しいエルサレム」が地上に降り、苦しみや死のない永遠の平和な世界が始まります。
そして「もはや涙も悲しみもない」理想的な未来が約束されると記されています。

ここで注目すべきは神と悪の最終的な戦い、いわゆる「アルマゲドン(ハルマゲドン)」です。

「アルマゲドン」

アルマゲドン(Armageddon) とは、一般的に 「世界の終末」や「最終決戦」 を指す言葉です。

『ヨハネの黙示録(新約聖書)』16章16節に登場し、「神と悪の最終戦争が起こる場所」 を意味します。
「ハルマゲドン(Har-Magedon)」とも呼ばれ、「世界の終わりに、神と悪(サタン)の軍勢が戦う最終戦争の舞台」 とされ、実際の地名ではなく、象徴的な意味合いが強いです。

アルマゲドンが世界の終焉の原因で、アポカリプスがその結果と言えるでしょう。

002-ポストアポカリプスとは

ポストアポカリプスの歴史

ポストアポカリプスが注目されるようになった時期は、20世紀半ばからですが、特に「冷戦時代(1947年〜1991年)」以降に人気が高まったと言われています。
理由として、核戦争の脅威が現実的なものとなり、「もし文明が崩壊したら?」という関心が高まったことが挙げられからでしょう。
ここからはポストアポカリプスの起源と発展の歴史を見ていきたいと思います。

起源(19世紀〜20世紀初頭)

世界の終末や文明崩壊を描いた物語は昔からありましたが、本格的なポストアポカリプスの形になったのは19世紀後半〜20世紀初頭からです。

その代表作と言えるのが、H.G.ウェルズの『タイム・マシン(1895年)』です。
未来の地球が荒廃し、人類が退化した世界が描かれています。

そしてメアリー・シェリーの『最後の人間(1826年)』。
舞台は疫病で人類が滅びた未来です。

核時代の影響(1950年代〜1980年代)

第二次世界大戦(1939〜1945年)での 原爆投下(1945年) により、核戦争の脅威が現実のものとなりました。
冷戦時代(1947年〜1991年)には、米ソの核戦争が懸念され、核戦争後の世界を描くポストアポカリプス作品が増えました。

そこで生まれたポストアポカリプス代表作をいくつか挙げます。

作品名(発表年)概要
『地球最後の日』(1951年)核戦争後の世界を描いた初期の映画
『北斗の拳』(1983年)核戦争後の荒廃した世界での戦いを描いた作品
『ザ・デイ・アフター』(1983年)核戦争の恐怖をリアルに描き、社会に大きな衝撃を与えた
『マッドマックス』(1979年)資源が枯渇し無法地帯となった未来を舞台にした映画

ゲーム・映画・アニメでの流行(1990年代〜現在)

冷戦が終わると、核戦争だけでなく ウイルス・環境破壊・ゾンビなど、多様なポストアポカリプスのテーマ が登場するようになりました。

近年ではパンデミックや環境問題、AIの暴走 など、現実に起こりうる脅威をテーマにした作品が増えている印象です。

作品名(発表年)概要
『Fallout』(1997年)核戦争後のアメリカを舞台にしたゲーム
『ターミネーター』(1984年)AIが支配する未来を描く映画シリーズ
『風の谷のナウシカ』(1984年)最終戦争で文明が崩壊、腐海の拡大に人々が脅かされる
『メトロ2033』(2010年)地表の放射性物質により人々は地下で暮らす世界
『The Last of Us』(2013年)人間が菌に寄生されゾンビと化した世界が描かれる

ポストアポカリプスのテーマは、その時代の社会不安を反映することが多く、これからも多くの作品が生まれることでしょう。

002-ポストアポカリプスとは

ディストピアとポストアポカリプス

ディストピア(Dystopia) と ポストアポカリプス(Post-Apocalypse) はどちらも暗い未来を描くジャンルですが、それぞれに違いがありつつ、時には重なることもあります。

ここではディストピアとポストアポカリプスの関係について見ていきます。

ポストアポカリプスからディストピア化へ

文明崩壊後、人々は新たな社会秩序を作ろうとします。
しかし、その結果として独裁政権や暴力的な支配者が生まれることが予想されます。
歴史的にその様な例は数多く、いくつか事例を挙げます。

1 フランス革命後の混乱(1789年~1799年)
旧体制(アンシャン・レジーム)の不平等や経済危機でフランス革命が勃発しました。
革命によって王政が廃止され、フランス第一共和政が成立しましたが、その後も政治的不安定(恐怖政治、内戦、対外戦争)が続き、最終的にはナポレオン・ボナパルトによる統治(第一帝政)へと移行しました。

2 中国・清朝(1912年)
19世紀後半、清朝はアヘン戦争、太平天国の乱、外国勢力の侵入によって疲弊していきました。
1911年の辛亥革命を経て、1912年に宣統帝(溥儀)が退位し、中華民国が成立。
中華民国成立後も地方軍閥による権力争い(軍閥時代)が続き、政治的不安定が拡大。1930年代には日本の侵略が始まり、さらに混乱が深まることとなりました。

3 ソビエト連邦の崩壊(1991年)
経済の停滞、民族問題、政治的腐敗、アフガニスタン侵攻の失敗などが原因で1991年にソビエト連邦が正式に解体され、ロシアを含む15の独立国家が誕生しました。
ロシアでは経済的困難(ハイパーインフレーション、失業率の増加)が深刻化。旧ソ連地域でも民族紛争や内戦(例:チェチェン紛争)が頻発するようになりました。

ディストピアの終焉がポストアポカリプスへ

極端な管理・抑圧社会が崩壊した後、ポストアポカリプス的な世界になることもあります。
ここでも歴史的な事例をいくつか挙げます。

1 太平天国の乱(1851年~1864年)
中国清朝期、農民は重税や土地の不平等に苦しみ、加えて外国勢力の進出やアヘン貿易による経済的に混乱していました。
そこに洪秀全が指導する「太平天国」が清朝打倒を掲げ、民衆の支持を得て広範囲に反乱を起こしました。
最終的に清朝が鎮圧したものの、数千万人の死者を出す大規模な内乱となり、清朝の衰退を加速させることになりました。

2 ロシア革命
ロシア帝国では農民や労働者が厳しい搾取と抑圧に苦しんでいました。日露戦争の敗北(1905年)や第一次世界大戦の犠牲も民衆の不満を増幅。
1905年「血の日曜日事件」で労働者が平和的にデモを行うも、政府軍が発砲して虐殺。これを契機に全国的な暴動が広がりました。
1917年には二月革命と十月革命によってロマノフ王朝が崩壊し、ソビエト体制が成立しました。
しかし、その後も国内は内戦で混乱することになります。

3 16世紀の宗教改革
中世後期、カトリック教会は免罪符(贖宥状)を販売し、金銭で罪が許されるという考えを広めていました。また高位聖職者が政治的権力を持ち、世俗化・堕落が進行。
それに対して聖書の教えに忠実な信仰を求める人々が増加し、「信仰のみによる救い」や「聖書のみ」(教会の伝統ではなく聖書を唯一の権威とする)といった新しい思想が広まり、宗教改革運動へと発展しました。
宗教対立をベースとした戦争が立て続けに起こり、ヨーロッパは大きく混乱し多くの犠牲者を出すこととなりました。

ディストピアとポストアポカリプスの違い
要素ディストピアポストアポカリプス
定義抑圧的な社会・管理された未来文明崩壊後の世界
特徴独裁政権・監視社会・自由の制限物資不足・無秩序・サバイバル
世界の状態まだ文明が続いているが、極端な管理社会文明が崩壊し、秩序が失われた
よくある原因戦争、環境破壊、AI暴走、全体主義の台頭核戦争、パンデミック、自然災害、ゾンビ

ポストアポカリプスの中で、ディストピア的な支配が生まれることがあったり、ディストピア社会が崩壊し、ポストアポカリプスへ移行することがあります。
両方の要素を持つ世界観の作品も存在します。

まとめ

ポストアポカリプスの世界では、人類が崩壊した後の新しい社会や秩序が描かれます。
この「何もないところから再出発する」という設定は、人間の適応力や創造性を際立たせ、視聴者や読者に「自分ならどうするか?」と想像させる力があります。

ポストアポカリプス作品は、エンターテインメントであると同時に、人間や社会について深く考えさせてくれるジャンルです。
世界が崩壊したとき、人間はどのように行動するのか?利己的になるのか、それとも他者を助けるのか?こうした極限状態での人間の心理や行動を深く掘り下げることで、我々に多くの学びを与えてくれるでしょう。

今後も注目のジャンルであり、これから訪れるディストピアの生き方の教材になると思います。

このブログではディストピアやポストアポカリプスの具体的な解説をしていければと思っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。