『フォールアウト4(Fallout 4)』は、『Bethesda Game Studios』が開発し、2015年11月に発売されたオープンワールド型アクションRPGです。
核戦争後の荒廃したアメリカを舞台にした「Fallout」シリーズの第4作目で、プレイヤーは自らの選択によって物語を進めていくことができます。
〇基本情報
ジャンル:アクションRPG、オープンワールド
プラットフォーム:PS4、Xbox One、PC
舞台:核戦争後のボストン(通称「コモンウェルス」)
〇ストーリー
ゲームは2077年の核戦争直前から始まります。
主人公は家族と共にVault 111という核シェルターに避難しますが、冷凍睡眠中に息子が誘拐される事件が起こります。
約200年後に目覚めた主人公は、荒廃した世界を旅しながら、息子を探し、世界の新しい秩序に関わっていくことになります。

ポストアポカリプスとしての魅力
『フォールアウト4』の最大の魅力の一つは、ポストアポカリプス(終末世界)を舞台にした世界観の完成度の高さです。
単なる戦争後の荒廃した世界ではなく、「もし本当に核戦争後に文明が崩壊したら?」という問いに対して、徹底的なディテールとリアリズムを持って答えているのがこのゲームです。
1. 文明の遺骸と再生の物語
核戦争後のアメリカ(ボストン)には、かつての文明の断片が至る所に残っています。
崩れた高速道路、壊れた家電、使われなくなったショッピングモールや学校──それらがプレイヤーに過去の栄光と滅亡のギャップを突きつけます。
この中でプレイヤーは、
- 生き残った人々と交流し、
- 村や都市を再建し、
- 未来を築こうとする派閥の一員になっていく。
つまり、「終末からの再生」が一貫したテーマとなっており、ディストピアとユートピアの狭間で生きる感覚をリアルに体験できます。
2. 自由度の高い道徳的選択
アポカリプス世界では、善悪の定義があいまいになります。『フォールアウト4』ではその状況を忠実に再現しており、
- 「人造人間(Synth)に人権はあるのか?」
- 「秩序のために独裁を許すべきか?」
- 「弱者を守るために暴力を使ってよいのか?」
などの道徳的ジレンマが、ストーリーやプレイヤーの選択に組み込まれています。
3. 人類の本性を描く
荒廃した世界で、誰が信頼できるのか?
法律や国家が機能しない中で、人はどのように生きるのか?
こうした問いを、プレイヤーは日々の行動を通して体験します。
- 盗みを働くこともできる
- 他人を助けてヒーローにもなれる
- 冷酷に人を裏切ることもできる
それが自由度として表現されており、終末世界での人間ドラマを自分の手で紡いでいく没入感があります。
4. 荒廃と美しさの共存
視覚的にも魅力的で、例えば、
- 夕暮れの放射能に照らされる廃墟
- 崩れかけたビルの屋上から見る風景
- 放棄された遊園地や原子力発電所の静けさ
といった描写が、不気味でありながらどこか美しい、そんなポストアポカリプスならではの空気感を生み出しています。
5. プレイヤー自身が「変化」を作る存在
単に終末世界を「見る」だけでなく、プレイヤーが
- 拠点を作り、
- 物資を集め、
- 仲間を守り、
- 世界の運命を左右する
という立場に立てることが大きな魅力です。
崩壊した世界で「再建者」になるロールプレイが、他の終末系ゲームよりも強く味わえる作品です。

終末世界に対する思想や価値観について
『フォールアウト4』の世界では、核戦争後に秩序を失った世界でそれぞれ異なる「理想」や「終末思想」を持つ派閥が登場します。
どの派閥が「正しい」のかは明確に示されず、プレイヤーが判断を下すようになっています。
この派閥の対立が、『フォールアウト4』の物語に政治・倫理・人間性の深みを加えており、どれに肩入れするかによって世界の未来そのものが変わっていくのが最大の魅力です。
主要な派閥とそれぞれの終末世界に対する思想や価値観を紹介します。

ミニッツメン(The Minutemen)
〇終末思想:「人民による再建」
地元住民による互助と団結を軸とした民主的再建主義
小規模な入植地を守り、連携させてネットワーク化していきます。
〇価値観
自由・平等・防衛を重視しています。
国家や組織の強権よりも市民の自立を尊びます。
一人ひとりの力で世界を立て直すことを信じています。
誰にも従わず、自分たちで未来を作りたい人に向いているでしょう。
B.O.S.(Brotherhood of Steel)
〇終末思想:「科学技術は管理されるべき」
科学や旧世界のテクノロジーを神のごとく扱い、それを制御するエリート組織です。
人類が滅びたのは科学の暴走によると考えています。
〇価値観
科学と武力による秩序の回復を志向しています。
人造人間(Synth)やミュータントの排除を推進(人間中心主義)していて、民主主義や自由よりも秩序と制御を優先しています。
「力による秩序」を信じる現実主義者・技術至上主義者に向いています。
インスティチュート(The Institute)
〇終末思想:「進化した人類こそ未来」
地下に潜み、高度な科学技術で新しい人類社会の再構築を目指しています。
人造人間(Synth)を作り、社会の裏で影響力を持っています。
〇価値観
科学による人類の進化と支配を主張しています。
表面上は冷静で理性的ですが、非人道的な実験や操作も行います。
地上の人々は原始的で「見捨てるべき存在」と考える傾向にあります。
「人類は変わらなければならない」と考える冷徹な合理主義者に向いています。
レールロード(The Railroad)
〇終末思想:「自由こそ人類の証」
人造人間(Synth)を奴隷とみなし、彼らの解放を使命とするレジスタンスです。
Underground Railroad(アメリカ奴隷解放運動)という実際に存在した秘密結社のオマージュ的派閥です。
〇価値観
たとえ「人間でなくても」意思ある存在には自由と尊厳が必要という思想を持っています。
少数派の権利保護を重視し、大きな代償もいとわない理想主義です。
人道主義・平等主義を重んじるプレイヤーに向いています。

フォールアウト4のような核戦争後の世界で生きていくためには
昨今の情勢を見るにフォールアウト4のような核戦争後の世界は、現実には訪れるかもしれません。もしそのような状況が現実に起こった場合、人類が生き延びるために必要とされる知識・スキル・心構えは、ゲーム内の要素と共通する部分も多くあります。
ここでは、現実的な核戦争後の生存術を、「Fallout 4」の世界観と重ねながら解説します。

放射線から身を守る
Fallout 4ではRad-X、RadAway、パワーアーマーなどの放射線に対する防護アイテムが登場します。
現実でも放射線を回避、防護、除去することを強く意識しましょう。
- 即座に遮蔽物へ避難(地下、厚いコンクリート壁など)
- 密閉空間を作り、空気の流入を防ぐ
- 放射性降下物(フォールアウト)が落ちるのは爆発後30分〜数時間。初動に退避、防護が必要
- 簡易的な放射線防護具としては、アルミシート・ビニール・防塵マスクが役立つ
水・食料の確保
Fallout 4では、水や食料の調達は必要ですが、腐っていたり、放射線に汚染されていたりします。
そのため、浄水器の設置、食料の調理が必須になってきます。
現実でも
- 密閉されたボトル入り飲料水は貴重。最低でも1人あたり1日3リットル
- 放射性降下物が混入している雨水・川水は危険
- 濾過装置や煮沸による浄化を行う
- 缶詰・乾パン・真空パックなどの長期保存食を備蓄しておく
拠点の確保と構築
Fallout 4では、セトルメント(拠点)を建てて、住民や物資を集めるというゲームシステムが存在します。
もちろん現実でも拠点の確保・維持は非常に大切です。
- 安全な遮蔽空間(地下室・コンクリート建物)が必要
- 出入り口が1~2つ程度で防衛しやすい構造が理想
- 基本的な工具・釘・ビニールシート・木材などの建築資材を備蓄
自己防衛と武器の扱い
Fallout 4では、銃・近接武器・罠を使って戦闘を行います。ただ必要に応じて敵を回避することも大事です。
- 核戦争後の混乱では、治安の崩壊が想定される
- 必要最小限の自己防衛手段(ナイフ、バット、弓など)を用意
- 戦うより避ける、逃げる、隠れることが基本
- 罠の設置や防衛線の確保も有効
人間関係と協力
Fallout 4では、コンパニオン、派閥、セトルメントの住民など人間関係が複雑に交差します。
そこでの選択によってエンディングが変わります。
もちろん現実も助け合える人間関係は、物理的・精神的な生存確率を大きく高めることに影響するでしょう。
- 小規模な共同体(3~10人)が理想
- 信頼と役割分担(食料調達、警備、医療、育児など)
- リーダー不在の中、価値観の共有とルールの合意形成が重要
知識と技術こそ最強の武器
Fallout 4では、サバイバルスキルをパークと呼び、それを成長させることでプレイを有利にしたり、次のステップに進めることができます。
現実では、Falloutでいう「Science」「Medic」「Survival」系Perkが、生存に寄与することでしょう。
- 応急処置・止血・感染症対策
- 火起こし、ろ過、調理、裁縫
- DIY修理(配管、電気、工具の使い方)
- 農作物の育成と保存方法
- 基礎的な交渉術と心理学
メンタルと判断力
終末の世界では、精神的に崩れた人から先に脱落します。
Falloutのプレイヤーキャラも、息子を探すという目的があるから前に進めるのです。
- 終末世界では絶望、孤独、混乱、裏切りが日常
- 生き延びるには「小さな目的」や「仲間の存在」が希望になる
- 柔軟な判断力と、「今できること」に集中する力が必要

まとめ
フォールアウト4はプレイすることで放射線をどう扱うか、そして精神的にどう生き抜くかという2つの視点が学べるゲームです。
放射線への対応
- 食料や水に含まれる放射能 → 体力の最大値が削られる(Radダメージ)
- 高放射線地帯 → 特別な装備が必要(例:パワーアーマー、Rad-X、RadAway)
- 放射能汚染されたクリーチャー(グールなど)も登場
そしてそれに対応するため、
- 線量計の携帯や定期的な環境チェック
- 予防と除染、降下物(フォールアウト)が落ち着くまでの待機
- 汚染されていない水や食料、居住空間を作る努力
- 自分の環境を自衛的に整える意識
以上のように、可視化できない危険にどう対応するかが必要になります。
絶望の中で「人間性」を守る
- 核戦争で家族や社会を失った主人公の「喪失感」
- 希望も秩序もない世界で、自分の正しさを見失う恐れ
- 殺す/生かすの選択を日々迫られる状況
そしてそれに対処するため、
- 物質的に過酷な状況でも、精神的支柱(家族、仲間、理想)の確認
- 過酷な状況下でも、共感・信頼・ユーモアが「人間性」を保つ
- 生存のための冷酷さが必要な場面もあるが、後悔しない判断を下すための冷静さと「軸」が必要
以上が絶望下で人間性を保つための要素になります。

放射線への対応は、恐れるのではなく、理解し、備え、制御すること、そして終末世界でもっとも失いやすいのは「人間らしさ」です。それを守るのが本当の「生存」と言えるのではないでしょうか?
このブログでは今後もポストアポカリプスゲームを通じて、世界崩壊後の生き方をご紹介できたらと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。